AI-901(Azure AI Fundamentals)対策ガイド ― AI-900後継試験の出題範囲と勉強方法
最終更新:2026-08-01
AI-901はどんな試験か
AI-901(Microsoft Azure AI Fundamentals)は、Microsoftの入門レベル認定資格「Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals」を取得するための試験です。2026年6月30日に退役したAI-900の後継にあたり、現在この認定を取得する方法はAI-901に合格することだけになっています。Microsoft Learnの旧AI-900試験ページにも、認定要件が変更されAI-900がAI-901に置き換えられた旨が明記されています。
認定資格の名称は変わっていません。変わったのは中身です。AI-900は機械学習の原則やコンピュータービジョン、自然言語処理(NLP)などを横並びに広く浅く問う5ドメイン構成でしたが、AI-901は次の2ドメインへ再編されました。
- AIの概念と能力(40〜45%)
- Microsoft FoundryによるAI実装(55〜60%)
ポイントは、配点の過半が「Foundryで実際にAIソリューションを実装する」側に振られたことです。生成AIとエージェント、プロンプト設計、Foundry SDKでのアプリ作成、Content Understandingによる情報抽出といった現在のMicrosoftのAI開発スタックが、そのまま出題範囲になりました。逆にAI-900で1ドメインを占めていた「機械学習の基本原則」は、独立した出題領域としては姿を消しています。なおMicrosoft Foundryは、Azure AI Studio、Azure AI Foundryと改称を重ねた製品の現行名です。教材の製品名が新旧混在する点にご注意ください。
もうひとつ見落としやすいのが受験者像の変化です。AI-900は「データサイエンスやソフトウェアエンジニアリングの経験は必要ありません」としていましたが、AI-901は「Pythonのコーディング構文とプログラミング手法の知識が必要で、Azureリソースに精通している必要がある」としています。名称は同じFundamentalsでも、前提知識のハードルは上がったと考えるのが安全です。
試験の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験コード | AI-901 |
| 認定資格名 | Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals |
| 前身の試験 | AI-900(2026年6月30日に退役) |
| 出題範囲の版 | 2026年4月15日更新(英語版) |
| 合格スコア | 700(1000点満点のスケールスコア) |
| 試験時間 | 45分(着席時間の目安は65分)※Fundamentals試験に共通の公表値 |
| 問題数 | 公式には非公開。Microsoftは「多くの試験は40〜60問だが試験により異なる」と案内 |
| 出題形式 | 試験の安全性確保のため事前非公開。公式の試験サンドボックスで体験可能 |
| 提供言語 | 英語のみ |
| 受験料 | 公式サイトで要確認(国・地域により異なるとされ、公式ページ上で日本円の金額は明示されていません) |
| 廃止日 | なし |
| 認定の有効期限 | なし(Fundamentals認定は失効せず、更新も不要) |
| 申し込み | Microsoft Learnの試験ページからピアソンVUEで予約 |
この45分/65分はFundamentals試験に共通の値で、AI-901の試験ページに個別に記載されているものではありません(出典は試験時間と試験エクスペリエンスのページ)。この中に5分の休憩時間が含まれますが、休憩中もタイマーは止まらず、休憩を挟むと休憩前に見た問題には戻れません。また、役割ベースの試験(AssociateやExpert)では試験中にMicrosoft Learnを参照できますが、Fundamentals試験にこの機能はありません。調べながら解けない前提で臨みましょう。
本記事は2026年8月時点の情報です。受験料や提供言語を含め、最新の情報はMicrosoft Learn の AI-901 試験ページおよびAI-901 学習ガイドでご確認ください。
出題範囲
出題範囲は2026年4月15日版のSkills Measured(学習ガイド)が正です。
AIの概念と能力(40〜45%)
手を動かす前提知識を問う領域で、3つの塊に分かれます。
- 責任あるAIの原則:公平性、信頼性と安全性、プライバシーとセキュリティ、包摂性、透明性、アカウンタビリティの6原則それぞれの設計上の考慮事項。名前の暗記ではなく、どの場面でどの原則が問題になるかをシナリオで判断できる必要があります。
- AIモデルのコンポーネントと構成:生成AIモデルの仕組み、能力に応じたモデル選択、デプロイオプションと構成パラメーターの選択。
- AIワークロードの識別:生成AI・エージェント型AI、テキスト分析、音声、コンピュータービジョン、情報抽出といった代表的なワークロードの判別。加えて、キーワード抽出・エンティティ検出・感情分析・要約などのテキスト分析技法、音声認識と音声合成、コンピュータービジョンと画像生成モデル、テキスト/画像/音声/動画からの情報抽出技法が問われます。
Microsoft FoundryによるAI実装(55〜60%)
Microsoft Foundry上で軽量なアプリケーションを組み立てる手順を問う、配点の大きい領域です。
- 生成AIアプリとエージェント:効果的なシステムプロンプト/ユーザープロンプトの作成、Foundryポータルでのモデルのデプロイと対話、Foundry SDKによる軽量チャットクライアントの作成、シングルエージェントソリューションの作成とテスト、エージェント用クライアントアプリの作成。
- テキストと音声:テキスト分析を含む軽量アプリの構築、デプロイ済みマルチモーダルモデルによる音声プロンプトへの応答、Foundry ToolsのAzure Speechを使ったアプリの構築。
- コンピュータービジョンと画像生成:マルチモーダルモデルによるプロンプト内の視覚入力の解釈、生成モデルによる視覚的出力の作成、ビジョン機能を含む軽量アプリの構築。
- 情報抽出:Foundry ToolsのAzure Content Understandingを使った、文書・フォーム、画像、音声・動画からの情報抽出と、それを組み込んだ軽量アプリの構築。
公式の注記によれば、出題の大半はGA済みの機能が対象ですが、広く使われているプレビュー機能が問われることもあります。
勉強法・学習ロードマップ
新設試験のため市販の対策書は限られます。公式教材を軸に据えるのが最短ルートです。
ステップ1:無料のラーニングパス2本を通す。公式ラーニングパス2本が、そのままドメイン構成に対応します。開発者とテクノロジの専門家向けのAIの概念(7モジュール)がドメイン1、AzureでAIアプリケーションとエージェントを始める(7モジュール)がドメイン2です。試験本体は英語のみですが、これらの学習コンテンツには日本語版があります。まず日本語で概念を固めるのが効率的です。なお、この2本にはSkills Measuredの箇条書きに直接は登場しないRAG(検索拡張生成)とFoundry IQのモジュールも含まれます。学習ガイドが「箇条書きはスキルの測り方を示す例であり、関連トピックも出題され得る」と注記している以上、飛ばさずに通しておくのが安全です。
ステップ2:Foundryポータルで実際に触る。配点の55〜60%が実装側である以上、読むだけでは足りません。モデルを1つデプロイし、プレイグラウンドでプロンプトを試し、シングルエージェントを作ってテストするまでを一度は自分の手で通してください。Foundry SDKによる短いPythonのチャットクライアントも、写経で構わないので動かしておくと選択肢の判断が速くなります。
ステップ3:英語受験に慣れる。AI-901は英語のみの提供で、試験中にMicrosoft Learnも参照できません。学習ガイドの英語版に一度目を通し、サービス名と主要用語は英語のまま覚えることをおすすめします。日本語で「情報抽出」と覚えていても、本番では Content Understanding、grounding、multimodal model といった表記で登場します。日本語で概念を固めてから英語の公式ドキュメントで用語を突き合わせる進め方が、現実的な備えになります。トキヌクでもAI-901対策の日本語オリジナル問題を用意しています(無料枠あり)。
ステップ4:公式の模擬評価で仕上げる。公式の練習評価(Practice Assessment)がAI Skills Navigator上で提供されています(利用にはサインインが必要)。画面操作に慣れるための試験サンドボックスも公開されており、初受験の方は事前に触れておくと安心です。腰を据えて学ぶなら、1日構成の公式コース「AI-901T00-A: Introduction to AI in Azure」(日本語提供あり)もあります。
学習期間の目安は、Azureの利用経験がある方で20〜30時間、クラウドが初めての方で40〜60時間程度です(公式の数値ではなく、出題範囲の分量からの見積もりです)。1日1時間なら1〜2か月を見ておくとよいでしょう。
よくある質問
AI-901はAI-900とどう違いますか?
認定資格名は同じ「Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals」ですが、出題範囲が再編されました。AI-900の5ドメイン構成に対し、AI-901は「AIの概念と能力(40〜45%)」「Microsoft FoundryによるAI実装(55〜60%)」の2ドメイン構成です。機械学習の原則という独立ドメインが消え、Foundryでの生成AIアプリとエージェントの実装が過半を占めます。
AI-901は日本語で受験できますか?
2026年8月時点では英語のみの提供です。Microsoft Learnの試験ページの提供言語欄にも「英語」とだけ記載されています。Microsoftはローカライズ版のある試験を英語版更新の約8週間後に更新すると案内していますが、AI-901の日本語化の可否や時期は公表されていません。
AI-900の学習教材や合格実績はどうなりますか?
すでにAI-900に合格していれば、認定資格はそのまま有効です。Fundamentals認定には有効期限がなく、更新も不要です。一方でAI-900向け教材の流用には注意が必要です。責任あるAIの6原則やコンピュータービジョン・音声・テキスト分析の概念は共通して使えますが、AI-900で独立した1ドメイン(15〜20%)だった機械学習の原則や、Azure AI Studio時代のポータル操作は、AI-901の範囲とずれています。
AI-901の勉強時間はどのくらい必要ですか?
公式には示されていません。目安はAzureの利用経験がある方で20〜30時間、クラウドが初めての方で40〜60時間程度です。AI-901はPythonのコーディング構文とAzureリソースの知識が受験者像に明記されているため、用語の暗記だけでなくFoundryポータルで実際にモデルをデプロイして触る時間を確保してください。
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